本稿のテーマ
私たちは自社・競合を含めて様々な開業~廃業までの事例を見てきました。 大きく分けて9つありました。それぞれの失敗事例について挙げていきます。
①コンセプトの失敗
1つ目の失敗事例は「コンセプトが明確でない」です。
脱毛サロンのコンセプトとは
・男性向けか女性向けか
・コース契約か都度払いか
・10~20代向けか30代以上向けか
・脱毛のみかエステも加えるか
などの「どんな顧客とニーズに向けてアプローチするのか」という設定です。
このコンセプトを曖昧にしてしまい、OPENして半年たっても全く新規の顧客を獲得できないというケースがこちら。
・男女両方受け入れる
・都度もコースもやる
・とにかく安くする
・10~60代まで全ての顧客を集客する
このケースでは「とにかくお客さんが欲しい」というオーナーの意向でしたが、実際にキャンペーンや方針が定まらず、まったくお客様が来ない状態となってしまっています。
一見いろいろな方針を取り入れると全てのお客様を取りこぼさずに開業して集客できそうですが、コンセプトを明確にしないと全てのお客様に刺さらないといったことになりますので注意が必要です。
②場所選びの失敗
次の事例は「出店場所選び」で失敗してしまったパターンです。
脱毛サロンのような店舗ビジネスの場合、出店する場所というのは売り上げや集客に大きく影響します。
失敗の事例としては
・首都圏の主要駅に出店したが競合が多く集客ができなかった
・首都圏の主要駅に出店したが家賃が高すぎて資金がショートしてしまった
・地方に出店したが見込み客が少なく集客できなかった
・家賃を抑えるために駅から遠くに出店したが便がわるくリピーターがつかなかった
などが挙げられます。
店舗の立地は売り上げに直結する重要なポイントなので、出店場所選びは最も慎重に行う必要があります。
③集客できない
こちらも脱毛サロンの開業で多くの人が失敗する事例です。
ただOPENしただけではお客さんは全くと言っていいほど来てくれません。
いかに自分のお店を知ってもらうか、魅力的なキャンペーンを展開するかが最重要です。
集客の失敗事例としてよくあるのが
・ホームページを作らない状態で開業してしまい顧客に見つけてもらえない
・ポータルサイトのみで集客しようとして上手く新規顧客を集められない
・チラシ配りやポスティングのみで集客できると思っていたが全く反応がない
・広告費を必要以上にかけすぎてコストバランスが合わずに資金がショートしてしまった
などです。
はっきりいってメンズ脱毛の集客は「WEBマーケティング」の領域です。
コスパ良く集客を行うためには圧倒的なマーケティングスキルが必要となります。
メンズ脱毛は伸びている業界ですが、美容室のように「当たり前」に行う認識にはまだ及びません。
いかに広く知ってもらい、来店のハードルを下げられるかが集客のカギです。
④間違った価格設定、プランについて
脱毛サロンの開業で取り返しのつかない失敗の一つが「価格設定」「料金プラン」です。
先ず大前提として、そのサービスが適正価格かどうかが大切。
安すぎても高すぎてもダメです。
脱毛の価格設定やプランでの失敗例はこちら
・大手と同じ価格設定にしてしまい高すぎて契約が取れない
・とりあえず格安の設定で運営したが利益が取れず運転資金が確保できない
・競合の価格競争に巻き込まれて顧客離れが進んでしまった
・初期の料金設定が適当で運営後に変えられなくて困ってしまっている
価格やプランは途中で簡単には変更できません。
どのプランをいくらの金額で出すのが適正なのかを間違えてしまうと取り返しのつかない事態に陥る可能性もあります。
脱毛料金は相場の判断が難しいので、開業の際の価格設定は慎重に行うようにしましょう。
⑤運転資金不足
脱毛サロンの開業を行う場合、目が行ってしまうのが「開業資金」ですが、実は更に重要なのが「運転資金」です。
・思ったように売り上げが上がらず運転資金がショートしてしまった。
・家賃や人件費のみに気を取られて広告費を運転資金として考えていなかった
・エアコンが壊れてしまい修理代金が高額で用意できずに困った
などの運転資金の用意不足による失敗も多く見られます。
サロン運営には家賃や人件費など毎月必ずかかるランニングコストが発生する上に、売上が上がらなかった場合の赤字の補填や、トラブル発生時の臨時資金なども用意する必要があります。
最低限の資金で開業してしまい半年後には資金がショート。閉店せざるを得ないといったケースも多くありますので、運転資金は必ず多めに用意しておきましょう。
⑥従業員の教育について
脱毛サロン運営の最も大切な部分として「従業員教育」があります。
従業員は人です。
僕たちも多くの従業員を抱えていますが、詰まるところ最も大変で重要だと実感するのがこの従業員教育です。
従業員の教育については様々な失敗やトラブルがあります。
・従業員のやる気がなく受電すらおろそかにしてしまっている
・従業員がお客様を怒らせてしまいトラブルになってしまった
・従業員のカウンセリングが下手で契約が取れない
・従業員が上司の言うことを聞かず職場の空気が悪い
など、挙げればきりがないほど従業員の教育問題はどのサロンでも散見しています。
脱毛サロンは「脱毛するところ」と勘違いされがちですが、実は立派な接客業です。
従業員の教育=売上といっても過言ではありません。
売上の出る脱毛サロンを目指すためにも従業員教育は必ずしっかりやる必要があります。
⑦火傷等のトラブル対処について
脱毛サロン特有のトラブルが「火傷等の肌トラブル」です。
脱毛器はその特性上火傷や肌荒れなどのリスクが発生してしまうのでこれらのトラブルは必ず発生しますが、その対処を間違えると大きな失敗に繋がってしまうんです。
実際にあった事例として
・火傷のリスクを説明せずお客様に火傷させてしまい損害賠償を請求された
・肌トラブルへの同意を書面で残しておらず損害賠償と治療費・慰謝料を請求された
・肌トラブルが原因で消費者センターにクレームを入れられてしまった
・従業員が火傷のクレーム対処を上手くできず余計にお客様を怒らせてしまった
など、火傷の対処は上手く行わないと大きなリスクとなります。
火傷の原因は肌の状態と脱毛マシンの出力設定によるものがほとんど。
トラブルを回避するためにも、適切な脱毛知識を身に着けて脱毛サロン開業を目指しましょう。
⑧脱毛機選び
実は「脱毛器選び」も脱毛サロン開業において失敗事例が多い一つです。
・中古のマシンを格安で購入したがすぐ壊れてしまった
・人気といわれているマシンを購入したが効果が出ず違うマシンを購入しようにもローンが残っている
・マシンが故障してしまい業者に連絡したが対応してもらえずマシンがダメになってしまった
・男女両方使えるマシンを導入したが男性には全く効果がなくお客様を取りこぼしてしまった
のような脱毛マシン選びの失敗例は後を絶ちません。
脱毛マシンは非常に高額ですので、確実にニーズに合うマシンを選びたいことろ。
脱毛ブームに伴い脱毛マシンの数も激増している中、理想のマシンを探すのは至難の業といえるでしょう。
⑨営業・勧誘のやりすぎ
売上を確保するためには新規のお客様に契約をしてもらわなくてはなりません。
売上のことばかりを意識してしまい営業が過度になってしまう失敗例も多くあります。
・とにかくごり押しで契約させたがすぐにクーリングオフされてしまった
・勧誘が酷すぎるとレビューに酷評を付けられてしまった
・契約後に内容が違うとクレームを付けられ返金する羽目になった
脱毛のコース契約は高額なものが多く、1件の契約で大きな利益が発生します。
その分営業や勧誘も過度なものになってしまう傾向がありますが、基本的にお客様は勧誘を嫌がるもの。
お客様の気持ちを考えない営業活動は思わぬトラブルに繋がりますので気を付けましょう。